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2024年03月29日

その「何か・・。」は。


さて・・。何の大会であったか記憶が定かではないが
何気なく、グラウンドの傍らで観戦していた時のことである。

試合は同点のまま、特別延長戦に突入する・・。
先攻チームは1点を奪った・・、いや、1点しか奪えなかったというべきか。
後攻チームにとっては1点で抑えたことは上出来の結果だったであろう。
失点1でしのぎ切ったチームのベンチや応援団から歓声が上がる・・。
一方、1点しか奪えなかったチームのベンチからは不安な空気が伝わる。

特別延長戦での1点というのはセーフティリードとは言い難い。
最小得点に抑える、または無失点に抑えたチームは勝利への確率が高くなり、
逆に最小得点に抑えられた、あるいは無得点となったチームは、
何となく不穏な空気が流れ、勝利への道がより険しくなることが想定される。
そんな特別延長戦での攻防が両ベンチの明暗を分けることになるのだ。

・・しかし、そのようなことはあくまでも一般的な見方であって、
絶対ではない・・ってことを申しつけておきたい。

そしてこの試合、その絶対でないことが起きた・・。
1点を奪った先攻チームが後攻チームを無失点に抑えて勝利をもぎとった。
その勝利の大きな立役者となったのはマウンドの小さなピッチャーであった。

特別延長戦、後攻チームの攻撃は強打者の4番から・・。
チームの期待を一身に背負う・・。この強打者の4番君の実力からみれば、
先攻チームが1点をリードしているものの、まるでピンチを迎えているような状況。
自分も正直、この勝負は後攻チームが有利だ・・そう思っていた。

しかし小さなピッチャー君は臆することなく、堂々と投げ込み、4番を抑え切る。
次の5番打者もレフトフライ。最後の打者はフルカウント、押し出しのピンチとなるも
見事、ピッチャーゴロに打ち取り、無失点と切り抜けて勝利をもぎ取ったのである。

「おお~すごい・・。」
お世辞にも早い球を投げる訳でもない。どちらかと言うとスローボールに近い。
コントロールだって抜群とは言えない。ストライクが入ればってという感じ。
また気迫を前面に出している雰囲気でもないし、どちらかというと飄々・・。
ただキャッチャーミットをめがけ、小さな体で一心不乱に投げ込んでいる。

まあ~たまたま、相手打者が力んで単に打ち損じたのかもしれないし、
緩いボールであるが故、相手チームに油断が生じたのかもしれない。

あるいはスピードボールやコントロールにも勝る「何か」があったのか。

その「何か」が、あの場面で偶然に出たものか?前から持ち得ていたものか。
そんな「何か」は不明だが、実は投手にとって最も必要なものかもしれないのだ。

いずれにしても・・。勝利をもぎ取ったのは紛れもない事実なのである。





勝利の瞬間、大歓声に包まれるベンチと応援団。


そんな光景を小さなピッチャー君の目にはどのように映っただろうか・・。





  


Posted by UMUサン at 22:55Comments(0)