
2025年05月01日
悲喜交交のそのあとに・・。
さて・・、時はゴールデンウィーク真っ只中・・。
そんなゴールデンウィークでの練習試合での一コマの話である。
たしか試合中盤だったと思うが、我らサンガーズが3点ぐらいビハインド。
終始追いかけるような試合展開の中、得点好機に4番君(5年)に打順が回る。
この4番君、5年生メンバーの中においても打撃のセンスにおいては
同学年の子の中でも一枚上手で、特にパワーと思い切りの良さは定評がある。
そんな中、得点のチャンスに回ってきたってことは大きな期待が持てた・・はずが、
ボール球に手を出し、あえなく三振・・。残念ながらこの回は無得点となった。
打撃センスは抜群だが、・・ただ、打つ気満々が時々裏目に出てしまう。
打ちたい気持ちを抑えきれず、ボール球に手を出してしまうという悪い癖。
この打席も低めのボール球に引っかかり、瞬く間に追い込まれ、
最後はアウトコースのストライクに手が出ず、見逃し三振を喫してしまう・・。
その瞬間、頭をカックリと落とし、うなだれながらベンチに引き上げてきた。
表情を見れば、今にも泣き出しそうな雨模様・・。「あ~あ。」 見るのも忍びない。
「こらこら、ボール球に手を出しちゃ打てんぞ~!」 そうかける声も無反応。
そのまま、頭を横に傾けながらベンチの柱にもたれかかる・・。哀愁が漂う。
そんな様子を見て、「少し慰めてあげたら・・。」 隣にいた5年生父兄にお願い。
父兄が顔を覗き込み、声をかけるも頭はカックリと横に落ちたまま・・。
どんな慰めも届かない・・。そんな後ろ姿にその場所だけは秋の気配を感じた。
そのまま守備につくも、頭は横に傾けたまま・・。当然だが、かけ声も聞こえない。
そして迎えた次の打席。ゲームはさらに得点差を広げられ、ビハインドのまま。
我らの攻撃が進むにつれ、チャンスが拡大・・。何やら満塁で回りそうだ。
「次はしっかりとストライクだけを狙うんだぞ。」 そんな言葉に顔を向け頷く。
すると、前の打席へ手を出していたボール球を見極める。
「その調子だ。」 何やら自分まで緊張しながらこの打席を見守る。
そしてこの打席は四球を選び、押し出しの1点をもぎ取った・・。
「そうそうやればできるじゃないか。打つだけじゃない、四球も大切だ。」
そう言うと、わずかだが表情に陽が差してきたような感じ・・。
迎えた最後の攻撃・・。まだまだビハインド状態は続いている。
劣勢の中ではあるが、ランナーが2人出れば、その4番君に打席が回ってくる。
しかしすでに2死・・。万事休すかと思った矢先、相手の守りのミスが出て、
なんと2死ながらも1、2塁のチャンス・・。最後に回ってきた・・。
「さあ~全力でいけ~。」 思わず声が出る。気合いの入った表情に期待。
すると甘いストライクをスイング一閃・・。打球は大きな弧を描き左中間を破る。
「やった~。」 打った瞬間、選手は立ち上がり、応援団は歓声を上げた。
2塁ランナーはホームイン。しかし、一気にホームを狙った1塁ランナーが
間一髪でホームタッチアウト・・。あと一歩届かず、敗戦となってしまったが、
試合後半の追い上げは見事。次につながるナイスゲームであった・・。
「監督、打ちました~。」 4番君がにこにこ顔で近寄ってきた。
「あら、そうだっけ?」 とぼけた返事に「打ちましたよ~。」おどけた表情。
「そうか?あのベンチの柱にもたれていることしか覚えてないけど・・。」
そう言うと、「へへへ・・。」照れくさそうな表情はいつもの彼に戻っていた。
まさに「悲喜交交」・・。悲しいことと嬉しいことを代わる代わる味わったようだ。

「あの打席で打てず落ち込んでも試合はまだまだ終わっちゃいないし、
へこんでいる場合じゃない・・。それが4番だ。」 今度は緊張感が出現。
野球大好き・・。練習がない日でもグローブ片手に毎日顔を出していた。
自分の姿を見ればスイングを見せ、猛アピールすることが日常・・。
彼の野球に対する一途な思いは必ずや開花すると確信していたし、
失敗するたび流す悔し涙が大きな成長の肥やしとなってきたのである。
当然だが、期待どおりチームの中心になったのは言うまでもない。
今年もそんなサンガーズ戦士が出現することを期待しているのだが・・。
Posted by UMUサン at 22:50│Comments(0)
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