サンガーズ奮闘記

ここ最近・・だが、気になる奴が一人いる・・。その名は江川遙人（６年）・・。




《・・独特のバッティングフォームだが、調子がいいから何も言わないことにしている・・♪ 》


体も比較的大きく、打力や走力、まあ～肩もそこそこ・・。大きな戦力としてはいるが、
なんせ、その「おちゃらけ」性格が気にかかるのだ（笑）・・。

チームスタート時、実力の５年生に押されてレギュラーポジションを獲得できず、
控えに甘んじていたのだが、北部選手権以降、その頭角を現してきた一人である・・。
今では外野ポジションの一角を勝ち取り、毎試合ごとに結果を出していることに、
驚きと喜びと意外性が混在する何とも言えない気持ちになっているのである。

・・しかしまあ～、その「おちゃらけ」がね～・・とは思っているが。


先だっての練習試合でも素晴らしいヒットを放ったあと、盗塁して２塁上に仁王立ち。
しかし、リードの仕方がぎこちないと感じたのか、相手投手が頻繁に２塁牽制を敢行・・。
見れば、離塁も恐る恐る・・。帰塁も変なスライディング・・。辺りをキョロキョロ。
「あ～あ、あいつのリードを見ていると危なっかしいと思うのは自分だけじゃないね。」

練習試合とはいえ、本番を想定したゲームなので、ここでアウトにでもなったら困る・・。
「・・もう～・・。あいつに向かって『下手くそ～！』って伝えろ・・。」 ベンチに向かって言うと、
ベンチにいるメンバー全員で「下手くそ～！」の大合唱・・。しかし、塁上で平然な表情。

そんな「下手くそ～！」を２、３回繰り返すと、「へ？俺のこと・・？」 自分に指を差している。
「そうだ、お前だ・・。」 やっと気づいたか・・。見ればヘルメットを取り、頭をかいている。
「ほんとにもう～・・。」 ベンチに帰って来るなり、「なんだ～あのリードは？」 そう告げると、
「大丈夫です。ちゃんとピッチャーを見てましたし、距離もオッケーです～♪」 だって・・。

「・・・。」 ほんとにもう～・・である。


以前の話になるが、和歌山・高野山旗派遣を勝ち取り、子供たちは当然のことだが、
帯同する父兄の参加確認をすると、遙人ひとりだけの参加ということの返事・・。
「お父さんやお母さんは～？一緒に行かないのか～？」って念のため再確認すると、
「いや、弟なんかの面倒や仕事があるんじゃないかな～。」 やはり一人らしい。

すると、「じゃあ～お前の面倒は誰が見るの・・？」って真剣な表情で冗談を返すと、
自分に視線をやり、「監督じゃないですか～。えへへ・・♪」 おいおいマジか・・。
「俺はお前の面倒を見る自信がない・・。家の人が一緒に行かないと連れていけんぞ～。」
すると、少し真面目な表情になり、「そうですよね～。」だって・・。

そして、あくる日、その遙人のお母さんに出会った・・。ひと通りの挨拶を済ませた後、
「和歌山には自分が行けます。ひとりじゃ連れて行けん～って監督が言ってたみたいで。」
「かあ～いやいや・・。あれはひとつの冗談でして・・。」 手を振り、慌てて訂正すると、
「はい。分かっていますよ～♪」 面倒をおかけしてます～って逆に頭を下げられた・・。

「こいつは家でもそうなのか・・？」 そんな思いがよぎった次第である。


しかし、その「おちゃらけ」は、チーム内での緊張感を解きほぐす役目を担っている。
彼の「おちゃらけ」をきっかけに、自分と彼とのやり取り、そしてチームメイトのやり取りの中で、
自然に「笑み」がこぼれ、笑いの渦が巻き起こる・・。重い空気の中、一服の清涼剤となる。

しかも彼自身、そんな「おちゃらけ」が功を奏してか、常に前向きであり、へこたれない。

例えば、２打席凡打しても次の打席は結果を残す・・。エラーをしても落ち込まず、
そのあとのプレーがすばやく、中継プレーで走者を次の塁で刺す・・など、順応力も健在。
・・つまり、意識を「次へ次へ」と持っていることに対し、大きな魅力を感じるのである・・。

「・・そういやぁ～、以前にもそんな奴いたな～。」 ふと、頭の中を巡らしてみる。
あ、すっごい身近にいた・・。うちの次男坊、竜誠である・・。あの「おちゃらけ」男だ。
そういえば、何かしら同じ「匂い」がするようなしないような。

かの、かりゆし５８の「全開の唄」にもある・・。

　ぶちかましてやろう　出たとこ勝負いつでも全力
　昨日でもなく明日でもなく　今この瞬間が全て
　さぁ立ち上がれ　反省なんか後回し
　後悔先に立たず　役立たず　今日も自己ベスト

彼や竜誠を思い浮かべるたびに、この歌のフレーズが飛び込んでくるのだ・・。

さあ～迎える大舞台・・。「おちゃらけ」男の本領発揮となるか・・？


たぶんに・・。そんな最高のパフォーマンスを予感しているのは自分だけじゃないはずだ。