
2016年09月13日
小さな大投手・・の予感。
少し古い話だが、今年に行われた「第1回島田杯北部支部予選大会」での試合。
とてもチビッ子たちの試合とは思えないほど、緊迫としたゲーム。
自分は塁審としてグラウンドに立っていた。
試合は同点のまま、特別延長戦に突入する・・。
先攻チームは1点を奪った・・、いや、1点しか奪えなかったというべきか。
後攻チームにとっては、1点で抑えたことは上出来の結果だったであろう。
1点で守り切ったチームのベンチや応援団から歓声が上がる・・。
一方、1点しか奪えなかったチームのベンチからは何かしら不安な空気が伝わってくる。
ご承知のことだが、特別延長戦にとっての最小得点1点というのは、
まったくのセーフティリードとはならない・・。ましてやチビッ子たちの試合である。
とんでもないことが起こる可能性だってあるのだ・・。
そんな中、最小得点に抑えたチームは、勝利への確率が高くなり、
逆に最小得点に抑えられたチームは、敗戦への濃厚がより強くなってしまう。
だから、両ベンチは明暗を分ける表情になってくる・・。
・・しかしこのことは、あくまでも一般的な見方であって、
絶対ではないってことを申しつけておきたい。
そしてこの試合、その絶対でないことが起きた。
最小得点1点を奪ったチームが、後攻チームの攻撃を無失点に抑えて勝利をもぎとった。
その勝利の大きな立役者となったのは、マウンドにあがった小さなピッチャー君であった。
特別延長戦の後攻チームの攻撃は強打者の4番から・・。チームの期待を一身に背負う。
この強打者4番君の今までの実力からみれば、先攻チーム、1点を奪ってはいるものの、
絶体絶命の大ピンチと言っても過言ではない状況~。
自分も正直、勝利は後攻チームへと傾いていった・・と思っていた。
しかし、小さなピッチャー君は臆することなく、堂々と投げ込み、見事に抑え切った。
次の5番打者もレフトフライ。最後の打者はフルカウントまでいき、
押し出しのピンチまでなったが、ピッチャーゴロに打ち取り、絶対絶命のピンチをしのいだ。
「おお~すごい。」 圧巻のピッチングを見せつけられた・・。
まあ~、見てみると、お世辞にも早い球を投げるわけでもない。
どちらかと言うと、スローボールに近い。ホームベースまで届くのがやっとだ。
コントロールだって抜群とは言えない。ストライクさえ入ってくれればいい~という感じだ。
また、闘志満々で気迫を前面に押し出して~って感じでもないし。
しかし、何かしら飄々(ひょうひょう)と思わせる雰囲気を醸し出している・・。
ただ、そこにあるのはキャッチャーミットをめがけ、小さな体で一心不乱に投げ込んでいる姿だ。
う~ん、自分の考え過ぎか・・。
たまたま、相手打者の単なる打ち損じなのかもしれない。
次の対戦でも抑えられるとの保障も考えにくい。
では、なぜ・・、あの場面で抑えきれたのか・・?
相手をねじ伏せるほどのスピードボール・・・?
いや、それとも打者を翻弄させる絶妙なコントロール・・?
それでもない。ど真ん中のスローボールに近い球だ。
スピードボールやコントロールにも勝る「何か」があったのか。
その「何か」が、あの場面で偶然に出たものか、前から持ち得ていたものか。
それよりも何よりも、その「何か」自体も分からないままである。
その「何か」とは、もしかして投手にとって最も必要なものかもしれないね。
いずれにしても、ナイスピッチングでした~♪

《 第98回選手権大会で活躍した『本田一政投手(長崎商)』・・。165㎝の小さな投手である。》
勝利の瞬間、大歓声に包まれるベンチと応援団・・。感涙にむせぶ父兄も見える。
そんなマウンドで堂々と仁王立ちしている姿は、まさに大投手の予感さえ感じてしまうのである。
そんな風景、小さなピッチャー君にはどのように映っただろうか・・。
Posted by UMUサン at 20:15│Comments(0)