やはり魔物はいるのか・・?

UMUサン

2016年08月14日 23:50


第98回全国高等学校野球選手権大会の大会8日目・・。

第3試合目の東邦(愛知)と八戸学院光星(青森)の戦いは興奮のるつぼと化してしまった。

試合は序盤から中盤にかけて完全に八戸学院光星のムード・・。
初回、東邦は今大会初登板のエース藤嶋健人投手をマウンドに上がったものの、
立ち上がりを狙われて、いきなり先制点を許してしまうと、追いついた直後の3回にも3失点。
エースが早々にKOされてしまう。

「う~ん・・。」 思わぬ試合展開に八戸学院光星の楽勝ムードが漂い始める・・。
実は、東邦のエース藤嶋健人の気迫溢れるピッチングとベンチでの仕草が見たくて、
いつ吠えるか~って姿を楽しみにしていた、

「この試合は、9対4で光星の勝ちじゃね・・。」一緒に観戦していた竜誠がつぶやく。
「??」その時点で得点は7対2・・。光星が5点の大量リードで試合を優位に進めている。
何故、その点数か~って尋ねると、
「だって、1試合目が7対2でいなべ総合が勝ったし、2試合目は8対3で常総が勝利・・。
このパターンでいくと、光星が9対4って勝利・・ことになるな~。」って。
何のパターンかよく分からないが、そのこと言っている側で光星が9点目を入れている。

しかし、そんな我々の予想を大きく覆す光景を目の当たりにする・・。

東邦2番手で登板した松山投手も5回に2点、7回には内野陣のミスで3点を失い、
試合は大方決まったかに思われた。しかし、東邦ナインは最後まで諦めなかった。

八戸学院光星は7回からはエースの桜井投手が3番手としてマウンドへ上がる
その7回に藤嶋のタイムリーなどで2点を返され、8回にも1失点。
それでも4点のリードを持って9回を迎えた。

ところが、最後まで諦めない東邦アルプスの熱気溢れた応援に乗せられ、手拍子が広がる。
そんな中で先頭の鈴木を安打で出すと、球場全体の雰囲気がガラッと変わる。

1死後、盗塁からのタイムリーで1点を失うも、4番の藤嶋を打ち取って2死。
勝利まであと一人というところまでこぎつけたが、続く打者に安打でつながれると、
そこからの連続タイムリーでたちまち同点にされる。

球場が大歓声で揺れる中、打席に入った東邦の1番鈴木が甘く入った変化球を左中間へと
弾き返し、この間に2塁走者が生還・・・。
最終回、執念の集中打で一挙5点をもぎ取り、東邦が奇跡の大逆転サヨナラ勝ちを収めた。

目の前の大熱戦に興奮冷めやらず・・。

逆転劇を演じた東邦ナインの最後まで決して諦めないという執念の勝利があったし、
圧倒的な試合展開で試合を優位に進めていた八戸学院光星の信じられない敗戦があった。
そんな死闘の両チーム・・。ホームプレートを挟んだ挨拶にその明暗がくっきりと分かれた。

・・そんな劇的な試合の裏には、いわゆる「甲子園の魔物」の存在があった。

終始劣勢であった東邦が7回以降に猛追を始めると、甲子園の雰囲気が一変・・。
東邦スタンドの応援団ばかりか、その他の観客が劣勢チームのその背中を押し始めた。
それが9回の東邦最後の攻撃の時には最高潮に達し、応援曲に合わせて拍手が鳴り響き、
球場全体でタオルがグルグルと回す光景が見られる

球場の雰囲気が、試合の流れを東邦へと変えてしまったのである・・。

まさに、甲子園の魔物が一瞬にして自分たちを飲み込むような感覚というか・・。
・・敗れた八戸学院光星にその光景はどのように映ったのであろうか?





歓喜に沸く勝利者と無念の涙する敗者・・。そして、素晴らしい試合を讃える観客の拍手。
それは一見、いつもと同じような甲子園の風景・・に思えるのだが。
今回ばかりは、何かしら異質な感じを受けたのは自分だけだろうか?

・・やはり、甲子園には「魔物」がいるのだろうか?


何となく・・。敗者の姿に、より強く視線が向いたのは言うまでもない・・。