先だって、興南高校野球部第51期保護者会の集まりがあった・・。
「今度の土曜日に、沖縄市で集まりましょう~♪」 第51期保護者会の副会長より
お誘いの連絡が入る・・。「お♪久し振りですな~。了解・・。」って即答。
・・あの当時のいろんなことを思い出しながら、集合場所へと向かった。
少し遅れて到着すると、懐かしい面々が顔を揃えている。
「お。やんばる代表が来たぞ~♪」 席に座るや否やグラスを差し出され、乾杯の嵐・・。
さっそく自分の子供らの近況報告を伺った。
聞けば、大学へと進み、野球を頑張っている子や野球から少し離れ、大学生活を
満喫している子らなどなど。はたまた現在の興南高校野球部の状況や子供たちの様子まで、
話題は豊富であり、とても短時間じゃ語れず、あっという間に楽しい時が過ぎていく・・。
「あ~、あの時はいろんなことがあったな~・・。」
仕事柄、那覇などでの会議に出席することが多い中、
行くたびに、凛太朗の興南高校時代の思い出が蘇る・・。
・・今でもそのような感覚となり、ふとオーバーラップしてしまうことがある。
興南高校に入学し、入寮する時の引っ越し準備・・。万全の用意で臨んだはずが、
「あれ足りない、これ足りない」で急きょ近くの雑貨屋で買い出しに奔走したこと。
入寮して1ヶ月の間、まだまだ不足な品物を抱えて、週2回ほどの頻度で届けに行った。
月2回の外食日。練習時間終了間際にグラウンドへ赴き、その時間に遅滞なく備えた。
その外食日の時間では、部活のこと寮生活のこと、学校などのことの情報収集。
わずかな時間があっという間に過ぎていく・・。
「じゃ、また次ね・・。」と寮の前まで送ると、寮に入るまで見届けた。
おかんと帰りの車ではしばし沈黙・・。無事に過ごしているね~ってホッとしたことと、
一抹の寂しさが漂い、何とも言えぬ空気に包まれたこと・・。
時間があれば、練習を見学しに行った。
「あら~、太朗は~?」なんて目を皿のようにしてグラウンドを見つめるが、不発。
「ほら、あそこにいるだろう。」と自分が指を差すも、確認できないでいる。
彼の走り方や立ち方、投げ方まで熟知している自分にとって何でもない作業であるが、
おかんにとって、100余りの部員の中から自分の子供を捜し出すのは至難の業だったらしい。
やがて、秘密兵器が登場・・。「双眼鏡」である。・・はた、今はどこにあるんだろう?
「練習に行くと、他の父兄も持っていたんで・・。」ってことで購入したって話だった。
凛太朗を確認することだけの用途に、あとの使い道は皆無。今じゃ存在すら不明である。
ある年のゴールデンウィークでは、竜誠とあかりを映画館へ送り、二人してグラウンドへ。
特段、遊びに行く予定もなかったんで、1日中練習風景を眺めながら過ごした・・。
たぶん、保護者会の集まりやイベントも、ほぼ満勤であったような。
凛太朗同様、見知らぬ土地で見知らぬ方々の中に入る込むことは容易ではない。
「凛太朗も頑張っていることだし・・。」なんて思いながら、勇気を持って飛び込んだ。
・・そして最後の夏。思わぬ初戦敗退。
興南高校の思い出のグラウンドに戻り、涙しながら用具を片づける子供らの姿に、
我ら「51期」の保護者も思わずむせび泣いた・・。
語れば、短い時間じゃ尽くせないことばかり。
そんな思い出も、今では懐かしい記憶の一つひとつとして刻まれている。
あるお母さんが嬉しそうに口を開いた・・。
「そう言えば、みんな向こうでは連絡取り合って、よく集まっているらしいよ~♪」と報告。
・・その話は凛太朗からも聞いたことがある・・。中には1週間に1回は会っている奴もいる。
今夏、興南高校が5年ぶりの甲子園に出場した際にも、みんなで応援に行っている。
共に、青春時代を野球を通じて過ごした仲間が、その時代を終えても変わることなく、
今度は、自分の人生の中でつなぎ合っていくのである。
この「51期」の子供たちの一期一会は大切にされ、衰えることなく続いていることらしい。
それならは、我々保護者「51期」の一期一会も、子供たちと同様に大切なものとして
続けなければならないことかもしれないのだ・・。
「では、今度の集まりは~・・。」と、すでに次回の集まりも予定された。
「今日は楽しかったみたいね~♪」 沖縄市まで迎えに来てもらったおかんが言う。
「まあ~、楽しかった・・。また今度も行こう・・。」 心地よい酔いでシートに深々と座った。
当分、我ら「51期」の一期一会に、自分の「満勤」記録が更新されていきそうな勢いである・・。