情熱大陸的ノック・・。

UMUサン

2024年04月29日 22:55


ちょうどゴールデンウィークのこの時期、ある光景を思い出した・・。

ゴールデンウィークのある日の練習試合、その会場に到着すると、
すでに相手のチームが練習している。グラウンド入り口付近で、子供らが
一生懸命にノックを受けている。縦に一列に並んだ1人ずつの1本ノック・・。
見たところ、低学年っぽい。全体的に少し線が細いって感じがする。

「おら~もっと元気出せ~。」ノッカーの激しい檄が飛ぶ。
ノッカーは監督って言うより父兄のよう・・。「こら~もっと飛べ~。」みたいな
「めちゃくちゃノッカー元気があるな。」ノック練習の横を通りながら思った。
そんな熱いノック練習になんか目が離せなくなってしまったのである。

なんと至近距離から全力ノック・・。おいおいチビッ子たち相手に大丈夫かと
そんな思いがよぎったが、「ん?」しばらく見てみるとちょっと安心した。
そのノッカーさん、あまり野球の経験がないのか、バットの振りがきごちないし、
しかもバットの芯にボールが当たらないもんだから、打球の方向が定まらない。
打った打球が思わぬ方向に飛んでいき、子供らがそのボールを「拾い」にいく。
つまりノックを受けている子供たちのところに打球があまりいかないのだ・・。

距離的に内野ノックのはずなのに、打球の行方はホームラン~ってところか。
強く打てば打つほど子供たちの頭上、遥か彼方へ打球が飛んでいく・・。
それでもノッカーさんはめげない。「なぜ飛ばない。」そんな檄がさらに飛ぶ。
「そんなの飛んでも取れないし。」 子供らの文句が聞こえてくるようだ。
それでもノッカーは熱血指導、血気盛んにノックバットを振り続けている・・。

「あ~あ・・。」 なんかますます目が離せない。

そして練習試合前、その横でノックをする。「お前らもあれぐらい元気出したら?」
「いや、元気があるのはノッカーの方ですよ、監督がもっと元気出したら・・。」って。
「・・。」それもそうだ・・。見習うのは自分の方であったのだ・・。

お互いにノックを終えて戻ろうとする時に振り向くと視線が合った・・。
「お疲れさまです。」そう声をかけると、帽子を取って軽く会釈を返してくれた。
「いや~自分らの子供たちは元気がなくて。」見れば前髪が汗でぐっしょり。

「もう少し力を抜くとバットにうまく当たりますよ。」思わず口に出てしまった。
かあ~いらん事を言ってしまったって後悔・・。一度出た言葉は呑み込めない。
すると笑顔で「ゆっくり振るとよけいに当たらんのですわ。はは。」あっさり。
「ああ、そうですね。しかしあの熱血指導は子供たちに伝わりますよ。絶対。」
「そうであったらいいけど。まあ~うまくいかないですね。」その笑顔にホッとした。

「じゃあそれでは・・。」お互い挨拶を交わし再び戦場へ、あ、いや、グラウンドへ。
そして熱血ノックを再開・・。「元気出していくぞ。」やはり全力ノックであった。
そんなノッカーの一生懸命さに何故か涙がこぼれそうになった次第・・。

選手に対する思い、チームを強くしたいとの情熱が前面に出ているのを感じる。
ノックの上手下手じゃない・・。その気持ちが大事だって改めて思い知らされたのだ

「・・タラ、ターラッタ・・。」





今でも「情熱大陸」のテーマ曲が蘇ってくる・・。